更新:2010/02/18
FMSのためのフォトフィールド作製について、パノラマ撮影と Hugin を使った写真合成 について書きたいと思います。
すでにパノラマ画像が作成出来る人にはご案内の記述です。
最初に書きますが、パノラマ画像作りのキモは、撮影にあります。断言します。
Hugin がまだ理解出来ない頃、普通の三脚の普通の雲台の縦位置でパン角度だけ揃えた撮影を 行い、パソコンに向かってからの苦労は半端ないモノでした。逆に撮影がきっちり 出来るようになってからは、Hugin での仕事量は格段に減りました。
デジタル一眼カメラなら何でも良いと思いますが、ホワイトバランスと露出が固定出来る モノが良いと思います。
手持ちでも大丈夫といった記述もネット上にはありますし、私もスナップ撮影中に 「ここ繋げると面白い」と思ったら迷わず手持ちでチャチャチャとやりますが、 360度全周を繋げようと思ったら必須アイテムだと思います。
写真合成に使う Hugin の特性を考えると、使った方が良い結果を得られます。 ノーダルポイントの意味や見つけ方は多くの方々が書かれているので 検索してみて下さい。私は自作の パノラマ雲台 を使っています。
2013/08/20 追記。
ノーダルポイントについての記述を追加しました。 ノーダルポイントについて
2013/08/20 追記ここまで。
市販のパノラマ雲台についてはこちらが参考になると思います。 panoraman http://tool.panoraman.com/
それと、この方のパノラマ雲台は一見の価値ありです。 http://www.11moon.com/QuickTimeVR/VRcam2/manual/index.html
パノラマ雲台を使うことの意味は、ノーダルポイントもさることながら、 個々の撮影画像のチルト・パン角度が明確になることにあると思いますが、 後述します。
シャッターを手で押しても絶対にブレない三脚と雲台が用意出来ていれば必要 ありませんが、そうでなければあった方が良いです。
私も最初は三脚の普通の縦位置でパン角度だけ気をつけて撮影しました。 あとは Hugin が繋げてくれるんだろうと考えていましたが、甘かったです。 上下左右360度を撮影するための方法についての概要は、
RC飛行機実験工房さん http://rcp.web.infoseek.co.jp/の掲示板で、JOYAさんが教えて 下さった撮影方法についての記述と、レンズの焦点距離とフイルムサイズに よる撮影角度の割出方法をエクセルの表にまとめて下さったものが大変参考に なりましたので、こちらにも置かせていただきました。
また、JOYAさんのホームページ Empty Aircraft にも参考になる記述がたくさんあります。
私がパノラマ雲台に貼り付けて使っている表も置きます。 platformangle.xls
上記、TripodScale1.xlsでは、35mmカメラのフイルムサイズ ( 36mm * 24mm ) となっている部分がありますが、デジタル一眼レフカメラで このサイズの CMOS が採用されているのはごく一部の高級機です。 私が使っている CANON EOS 10D では、APS サイズの 22.7mm * 15.1mm しかありません。 上記の表にこの数値を入力すると、パン・チルトの数値はかなり変化します。 お使いになられるカメラの CMOS サイズを一度確認されることをお勧めします。 また、APS サイズのデジタルカメラの場合、使っているレンズの焦点距離に1.6を乗じた 数値を焦点距離として入力してもほぼ同じ結果が得られます。
Hugin でレンズの焦点距離を指定する場合は、1.59を指定すると良いようです。
2013/08/20 追記。
V-Tails さんが、レンズの焦点距離、種類(円周魚眼、対角魚眼、通常レンズ)、センサーサイズの違い に合わせて段数、枚数、角度などをビジュアルに求められるフリーソフトを公開されています。 http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~v-tails/delphi/panocell.html とても便利に使わせて頂いています。
2013/08/20 追記ここまで。
上の図は、h:をフイルムの高さ、f:をレンズの焦点距離としています。
エクセルで計算するときは、θ = ( 2 * ATAN ( h / 2f ) ) * 180 / PI() として下さい。 * 180 / PI() はラジアン→角度変換です。
JOYAさんの TriposScale.xls では、チルト角によってパン角度を変化させることで、 撮影枚数を減らしています。 しかし、後述する Hugin でコントロールポイントを処理する際には、 上から下まで同じパン角度で同じ枚数撮影されていると、地球儀に 貼り付けられている一枚の細い画像のように処理出来て(私には)楽です。 私はすべてのチルト角で同じパン角度で撮影するようにしています。
h: 15.1mm, w: 22.7mm, f: 17mm の場合
チルト角 | パン角度 | 枚数 |
---|---|---|
90度 | 1枚 | |
45度 | 30度 | 12枚 |
0度 | 30度 | 12枚 |
−45度 | 30度 | 12枚 |
−90度 | 1枚 |
やっかいなのが、この雲です。青空に雲ひとつ無い快晴は飛ばしていて 楽しくないんですよね。雲はあった方が良いのですが、その位置や形は 刻々と変化します。風の強い日は言うに及ばず、風の無い穏やかな青空でも、 かなりの速度で移動・変形します。一周12枚を撮影してくるだけでも 変わりますし、二周すると Hugin が自動ではコントロールポイントを 見つけられない程に変わります。ですので、 空の撮影はスピードがキモです。雲台の目盛に30度毎に印をつける などの工夫が必要だと思いますし、
マンフロットのパン雲台 http://services.manfrotto.com/303SPH/?cnt=howto
のように決められた角度で止まるような仕組みも納得ですね。
Hugin は以下のサイトでダウンロードできます。
また、AutoPanoShift が絶対オススメです。AutoPanoShift は以下のサイトからどうぞ、
http://user.cs.tu-berlin.de/~nowozin/autopano-sift/
Hugin を使い始めた頃は、チュートリアルも読んだ、概要も理解した。 でも、こんなんなったり、あんなんなったりでダメじゃ〜んな日々を 送っていました。ちゃんとしたプレビューにお目にかかるためのコツ などについて述べたいと思います。
AutoPanoShift は、Hugin よりも秀逸なコントロールポイントを生成してくれます。 オススメします。
Hugin を立ち上げて、AutoPanoShift が生成したコントロールポイントを読み込みますが、 このときレンズの焦点距離を聞いてくるダイアログが出ます。(出ない時もありますが) この時、CMOS が APS サイズの場合は、レンズの焦点距離に1.59を乗じた数値を 入力します。
すべてのチルト角度で同じパン角度で撮影しておくと、撮影画像は下の表のように 並ぶことになります。
チルト4段×パン12枚の場合
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 |
36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 |
コントロールポイントを整理するときは、
0と1、1と2・・・10と11、そして11と0
12と13、・・・47と36までいったら、
0と12、1と13と進めて、35と47まで行ったら終了です。
コツは「なるべく遠景にコントロールポイントを集約する」です。
上の画像は、AutoPanoShift が生成したままのコントロールポイントです。
下の画像は画面下半分にあったコントロールポイントを削除した状態です。
これは、扇形に変形することを緩和するための処理です。Hugin のプレビューで 「まっすぐ」ボタンを押しても波打っている場合は、これを試して見て下さい。
最適化とは、コントロールポイントの情報を元に、各画像をプレビュー画面に配置する 作業と言えると思います。
「位置(基準から一枚ずつ)」 を一回やれば(運が良ければ)プレビューできます。撮影のパン角度にバラ付きが ある場合は、その次の「位置(y,p,r)」や「位置と画角(y,p,r,v)」 も必要かもしれません。
2010/02/18 更新
最適化は、ただプレビュー画面に配置するだけではなく、たる形歪みを補正する ことで、見事に繋いでくれることがわかりました。 室内撮影や、建造物がある場合は、「位置(基準から一枚ずつ)」を実行した後、 「全部」を実行すると良いです。以下に、最適化の各項目によってプレビューが どう変化するのかを示します。
コントロールポイントデータをもとに、とりあえずプレビュー画面にならべました。 という感じです。
(基準から一枚ずつ)とそれほど変化を感じられません。
多少改善されたように見えますが、破綻している部分もその度合いが強く なっているようにも見えます。
破綻していた部分が改善されました。ここでの違いは大きいですね。
位置とたる形歪みとの違いがわかりません。
おぉ、素晴らしい。見事です。
というわけで、「位置(基準から一枚ずつ)」を実行した後、 「全部」を実行するです。これをやっても段差が出たりする 場合は、ノーダルポイントがあっていないことを疑いましょう。
2010/02/18 の更新終わり
Yaw(横):プレビュー画面上での横方向の位置を指定します。プレビュー画面の 真ん中が0右がプラス左がマイナス。0〜180の角度で指定します。
Pitch(縦):縦方向の位置を指定します。上がプラス下がマイナス。 0〜90の角度で指定します。
Roll(回転):プラスの値で時計回りにマイナスで反時計回りに画像が回転します。
ワケワカになってしまった時は、リストボックスの画像ファイル名を全部選択して リセットボタンを押せば全部0で元に戻ります。コントロールポイントが消えて無くなる わけではありませんので安心してリセット出来ます。最適化を一からやり直せばすむ ことです。
撮影された各画像のチルト・パン角度が明確であれば、ここで各数値を直接編集することも 出来ます。また、プレビュー画面でズレた画像がある場合、本来あるべき位置へ修正 することも出来ます。
キッチリ撮影してもこうなるときがあります。「まっすぐに」ボタンをいくら押しても うねったまんま。多くの場合チルト角がマイナス(カメラが下を向いている)の撮影で 三脚周辺の地面がうねっている場合に起こります。そんな時は、プレビュー画面上で チルト角がマイナスの画像を処理対象から外して「まっすぐに」ボタンで処理します。 まっすぐになってくれたら外した画像を戻します。もう「まっすぐに」は押しては いけません。そのままスティッチングします。 外す画像をどれにするかは、ケースバイケースで試行錯誤が必要です。
FMSで使えるパノラマ画像は正距円筒 ( Equirectangular ) です。 スティッチングタブページの投影法は、これを選んで下さい。 また、SimScene.exe でパノラマ画像を処理する場合は、横幅が8の倍数となる数値で 8192以上の数値を設定して下さい。
最初にも書きましたが、キッチリ撮影されていると、Hugin での作業は減ります。楽です。 Hugin での作業経験を撮影のチルト角設定などへフィードバックさせると、もっと楽に なるかもしれません。私も研究中です。